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心理療法システム編
第4巻 民族文化を重視する心理療法
Ethnocultural Psychotherapy
コマス・ディアズ博士
Lillian Comas-Diaz, PhD

監修:S・マーフィ重松(東京大学助教授) 監修・翻訳:岩壁 茂(お茶の水女子大学助教授)
■VHS ■日本語字幕スーパー ■収録時間:47分 ■解説書付

■商品コード:VA-2004 ■¥48,600(税込)
民族文化が多様な北アメリカにおける心理療法の実践は、常に文化の問題を考慮することが必要とされる。「セラピストとクライエントの文化の違いが心理療法の過程でどのように表れ、どのように扱うべきか」「民族的アイデンティティーはどのような発達するか」「差別、偏見はどのように人の心理的健康に影響を与えるのか」などと言った問題は、民族的マイノリティーとされる人たちに対して、有効な心理療法を施すために重要な課題である。「違う者」に対する差別、偏見、それに起因するいじめは広く日本でも問題になっており、心理療法の文化的差異に焦点を当てるディアズ博士の理論は、日本の臨床においても示唆するところが多い。

コマス・ディアズ博士
(アメリカ心理学会少数民族問題部会長)
リリアン・コマスディアズ博士について

リリアン・コマスディアズ博士は、マサチューセッツ大学より博士号を取得し、異文化精神衛生研究所の所長を務めるかたわら、ワシントンDCで個人開業を続けている。博士はアメリカ心理学会、民族的少数派対策室の前室長、イエール大学医学部ヒスパニック系クリニックの前所長を務めて、現在はアメリカ心理学会の評議員であり、心理学における女性を考える委員会より新たな先導者として表彰された。

博士は、民族文化的精神衛生、心理療法におけるジェンダーと民族的因子、拷問を受けた被害者に対する治療、国際心理学、ラテン系アメリカ人の精神衛生の問題に関して、広範囲に渡り著作を発表してきた。最も新しい編著作、「有色人種の女性:心理療法における民族とジェンダーの同一性の統合(Women of Color : Integrating Ethnic and Gender Identities into Psychotherapy)」がギルフォード出版社より出版され、またジョン・ウィリー社より刊行される民族文化的多様性と臨床実践に関する専門誌の編集長でもある。



民族文化を重視する心理療法の概要

民族文化を重視する心理療法は、リリアン・コマスディアズ(Lillian Comas-Diaz)とフレデリック・M・ジェイコブソン(Frederick M.Jacobson)によって考案され、人間の多様性を臨床的実践に統合することを目的とする。それは折衷派アプローチであり、自己の概念を内在化された民族文化的象徴として理解する。クライエントの力を理解し、それを回復し、治療に活かしていくのが、この理論の中心的教義である。

この心理療法は権力とその逆説的な意義を認め、クライエントに自己決定能力を高めるエンパワーメント(Empowerment)アプローチとして、意識化(Conscientization:気付きを高める)と変容を目的とする。意識化とは、意識を呼び起こすこと、社会の中での自分の位置に現実的な気付きをもたらすように精神面での変化が起こること、自分の社会的な立場、行為の因果関係を批判的に分析する力をもつこと、そして、論理的に導いた社会的変革へと活動を起こすことを意味する。

またこの心理療法は、人間の多様性から起こる力学と様々な作用をそれら文脈の中で考察する。自己−世界関係、同一性、文化間の横断、民族文化間の転移と逆転移などの構成概念が用いられる。セラピーでの二者関係においてセラピストとクライエント両者の現実が合流することの意義が積極的に認められている。そのような合流がセラピーにおける2者の出会いにおいて強調されるため、セラピストとクライエントの治療関係がもっとも本質的な変容の動因であると考える。それによって、批判的な意識と社会的変容、そして民族文化的同一化が促進され、他者性の帰属の問題を扱うことができる。

さらに、この療法は査定と治療において民族文化的因子に注意を払う。民族文化査定は、査定と治療のツールとして開発され、クライエントの同一性の発達に関与するいくつかの層を考慮するものである。この層には、民族文化的遺産、家族内の神話、移民後状況の分析、自己調整、またその他の民族文化に関わる因子があり、これらを考慮することによって、セラピストとクライエントの生い立ちとの重なり、または、潜在的な重なりがある部分を見極めることができる。その他の臨床的手法として、ジェノグラム、民族文化移動図、証言、民族文化に関わる民話などが考案された。



クライエントの素性

■セレスト
■年齢:29歳
■性別:女性
■人種:白人/ヒスパニック系
■婚姻関係:未婚
■職業:雑誌、バニティーパレードの長篇記事の執筆
■教育歴:大学卒
■両親:両親ともに健在、母親(56歳、弁護士)父親(57歳、弁護士)
■兄弟:姉(37歳、弁護士)弟(26歳、コンサートピアニスト)



関連する出来事

雑誌バニティーパレードでは、セレストの編集部長への昇任が検討されていた。彼女もその昇進に向けて仕事に精を出したが、彼女の同僚のリタも、その役職へ推薦されていた。彼女によると、リタは彼女をことを嫉妬して、雑誌の記事を書く時の情報の出所に関して「根拠なしに、たちの悪い噂を広めて」いた。彼女が書いた記事の評判の良かったときは、疑わしい人たちと昼食をして情報を集めていたと言いふらした。また、影で彼女を「人を利用する」「操作する」「騙す」女だと呼んだ。セレストは先週末の日曜日も仕事をしていた。リタのオフィスの前を通りかかると、ドアが開いたままでコンピュータも電源が入ったままになっていた。しかし、そこにリタの姿はない。彼女は「リタの机の上にあるものをちょっと拝見してみよう」、またコンピュータの電源を切ってあげようと思い、オフィスに入った。すると、リタの机の上にはかなり細かく彼女の行動を記した社内メモがあり、そのメモは昇任人事委員長宛になっていた。彼女は激怒して、リタのコンピュータにあるファイルを調べ、他にどんな「嘘」があるのか必死になって見つけようとした。リタのファイルを消去しているとドアのところに同僚が立っているのが見えた。彼は、彼女がファイルを消去しているのをずって見ていたのだった。

次の日、この事件は昇任人事委員長に報告された。彼のオフィスに呼び出されたセレストは、昇任の対象からはずされたと告げられ、彼は彼女の疑問視された振舞いとそのような情報がどこから入ったのかを説明した。

彼女は激怒し、気が動転し、心配になった。怒りのせいで問題が起こったのはこれがはじめてではないからだ。自分は診てもらったほうが良いのだろうかと悩んだ。

高校時代のことである。安いイヤリングを万引きしたことが妹にばれてしまい、妹はそれを両親に告げ口した。両親はセレストに万引きを「白状」させ、イヤリングをもとのお店に返させた。彼女は妹に腹を立て、イヤリングはたったの2ドルの安物なのに、皆が大騒ぎしすぎだと感じた。そこで、妹のお気に入りだったカシミアのセーターを洗濯機と乾燥機に入れてわざと「うっかり」と洗ってしまい、ひそかに「仕返し」をした。

大学ではティーチングアシスタント(教員補助)に怒りをぶちまけた。彼女のレポートが剽窃部分を含むのではないかと言ったときである。彼女は抑えが効かなくなり、この助手を非難し、「ゴマすりのミミズ」とか「知恵おくれ」とののしった。この件は一応解決し、彼女は剽窃の疑いが晴れたが、単位はもらえずに、「このばか」と一緒に勉強できないからという理由で、卒業がおくれてしまった。



これまでの面接の経緯

第1回面接


「専門家の助けが必要だ」というセレストの主訴を扱う。彼女は心理療法をはじめることに対してアンビバレンスを感じていたが、一週間に一度の割合で試してみることに同意した。また、二人は彼女の怒りを理解し、それをうまく扱うことを目的にするということで合意した。まず査定をはじめ、彼女の感情の状態(激怒する、動転する、心配する)を同定し、続いて現在の危機的状況も扱い、ラポール形成をはじめる。



第2回面接

ラポール形成と査定を続ける。セレストの怒りを探索し、機能不全の反応様式について調べる。彼女のジェノグラムと民族文化査定の1、2段階から開始し、セレストの家族の中では、怒り、達成すること、競争などについてどのようなシナリオがあったのか注意を向けた。



第3回面接

ビデオに収録

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